回数券・コースを売るサロンの管理方法:残数・期限・返金と「預かり金」の考え方
回数券やコースを販売する美容室・サロン向けに、販売前に決めるルール、残数と期限の管理、途中解約の返金、売った月に売上が膨らまない「預かり金」としての考え方を整理します。

目次8項目
回数券やコースは、お客様にとってはお得に通える方法で、サロンにとっては継続して来店してもらうきっかけになります。一方で、残りの回数が合わない、期限が切れたあとで揉める、途中でやめたいと言われて返金額に困る、といった相談が後から出てきやすい商品でもあります。
この記事では、回数券・コース(前払いで購入し、来店ごとに1回ずつ使うもの)を販売しているサロン向けに、販売する前に決めるルール、残数・期限・返金の管理、そして売上の数え方を整理します。
結論:回数券は「預かり金」として管理する
回数券の代金は、売った時点ではまだ施術をしていない、お客様から預かっているお金です。使われるたびに、その1回分がサロンの売上になる、と考えて管理します。
そのうえで、販売する前に4つのルール(対象と回数、有効期限、途中解約と返金、割引との関係)を決めてお客様に伝え、残りの回数・期限・預かっている金額をお客様ごとにいつでも確かめられる状態にしておきます。使うときの処理は、会計の場で行います。
回数券で起きやすい4つの困りごと
- 残りの回数が合わない:紙のスタンプカードと店の記録が食い違い、どちらが正しいか分からない
- 期限をめぐって揉める:期限が切れてから来店され、使えるかどうかでやり取りになる
- 途中解約の返金額が決まっていない:引っ越しなどでやめたいと言われ、その場で金額を考えることになる
- 売上が実態より大きく見える:売った月に代金をすべて売上として数え、翌月以降の売上が少なく見える
最初の3つは、販売前のルールと記録で防げます。4つ目は、売上の数え方を変えると見え方が変わります。
販売する前に決める4つのルール
回数券のトラブルの多くは、売ったあとではなく、売る前にルールが決まっていないことから起きます。次の4つを決め、販売するときに書面や画面でお客様に伝えます。
1. 対象メニューと回数
「カット5回券」のように対象がはっきりしていても、ロングの追加料金や、別の施術と一緒に受けたときの扱いで迷うことがあります。回数券で支払う範囲と、追加で支払ってもらう範囲を決めておきます。
2. 有効期限
期限は、通う間隔に対して無理のない長さにします。期限を設けるなら、期限が近づいたお客様に来店の案内を送る運用もあわせて決めます。期限が切れてから知らせるより、切れる前に予約につなげる方がお客様にも店にも負担がありません。
3. 途中解約と返金
やめたいと言われたときに返す金額は、支払った金額から、使った回数分を差し引く方法がわかりやすく、計算の根拠を説明しやすくなります。手数料を差し引く場合は、その金額の決め方も事前に書いておきます。
なお、業種や金額、期間によっては、前払いの継続的なサービスが特定商取引法の対象となり、解約や返金について決まりがある場合があります。エステなど、該当しうるメニューを扱う場合は、消費者庁の案内や専門家に確認してからルールを決めてください。
4. 割引との関係
回数券はそれ自体がお得な価格になっていることが多いため、さらにクーポンや割引を重ねると、1回あたりの金額が分かりにくくなります。回数券の購入や使用にはクーポンを使えない、と決めておくと、返金の計算も単純になります。
売上は、売ったときではなく使われたときに数える
回数券を売った月に代金をすべて売上として数えると、その月の売上は大きく見えますが、その後の数か月は施術をしても売上が増えないように見えます。店舗の実態を見るためには、使われた回の金額を、その月の売上として数える方が正確です。
預かり金の残高は、これから施術をする約束の合計でもあります。残高が大きいのに予約が埋まっていない場合は、回数券を持つお客様に来店の案内を送るきっかけになります。会計や税務の処理をどうするかは事業者ごとに異なるため、顧問の税理士と確認してください。
使うときは、会計の場で記録する
回数券を使う処理は、施術のあとの会計で行います。会計の場でまとめて行うと、次の確認を毎回同じ手順で済ませられます。
- お客様を確かめる:回数券はお客様ごとに管理するため、誰の回数券かを確かめる
- 使える回数券かを確かめる:期限内か、残りの回数があるか、今日の施術が対象か
- 使った記録を残す:日付と施術を記録し、残りの回数を減らす
- 残りの回数を伝える:会計のときに、残りの回数と期限をお客様に伝える
スタンプカードを渡している場合も、正しい記録は店側に置きます。カードを忘れたお客様にも対応でき、残りの回数が食い違ったときにも確かめられます。来店のたびの記録の残し方は 美容室のカルテには何を書くか:紙から電子カルテへ移すときの項目と手順でも整理しています。
期限切れと途中解約に備える
期限切れと途中解約は、起きてから考えると対応がぶれます。次の点を決めておきます。
- 期限が近づいたお客様に、いつ、どの方法で来店を案内するか
- 期限が切れた回数券を、延長できる場合があるか(ある場合は条件)
- 途中解約の返金額の計算方法と、返金の方法(現金・振込・カード決済の取り消しなど)
- 解約や返金を記録し、預かり金の残高から外す手順
回数券を持つお客様は、決まった間隔で通う可能性が高いお客様です。期限の案内を再来店の案内とあわせて設計すると、無理なく来店につながります。来店後の案内の作り方は 美容室のリピート率を伸ばすWeb導線の作り方で詳しく整理しています。
SOGA の視点:回数券は対面で売り、使ったときに売上にする
SOGA のレジでは、回数券・コースをメニューとして登録し、回数と有効日数を設定します。販売は店頭の会計だけで、Web予約からは販売できないため、ルールを対面で説明してから販売できます。
販売した代金は売上ではなく前受金(お預かり金)として記録し、使われた時点でその回の金額を売上にします。SOGA の利用料(お会計の2%)も、販売時ではなく使われた回の金額で数えます。回数券にはクーポンや割引を適用できないようにしています。
会計のときは、お客様が有効な回数券を持ち、今日の施術が対象になっている場合だけ「回数券で消化」が表示されます。お客様ごとの残りの回数と預かり金の残高、店舗全体の預かり金の残高も確認でき、期限切れや途中解約の返金にも対応しています。会計の仕組みは 美容室・サロンのPOSレジ・売上管理、お客様ごとの残数の確認は 美容室・サロンの電子カルテ・顧客管理で紹介しています。
販売を始める前のチェックリスト
- 対象メニュー、回数、追加料金の扱いが決まっている
- 有効期限と、期限が近づいたときの案内方法が決まっている
- 途中解約の返金額の計算方法と手数料が決まっている
- 回数券にクーポンや割引を重ねるかどうかが決まっている
- 上のルールを、販売時にお客様が読める形で渡している
- 残りの回数と期限を、店側の記録でいつでも確かめられる
- 売った代金を預かり金として、使われた回を売上として数えている
- 法令や会計・税務の扱いを、必要に応じて専門家に確認している


