美容室のカルテには何を書くか:紙から電子カルテへ移すときの項目と手順
美容室・サロンのカルテに残すべき項目を、次回の提案と安全の2つの目的から整理します。書かなくてよいこと、紙カルテから電子カルテへ移す手順と注意点もまとめました。

目次8項目
紙のカルテが増えて前回の施術を探すのに時間がかかる、担当によって書く内容がばらばらで引き継げない。カルテについての相談は、たいてい「何をどこまで書けばよいか」が決まっていないところから始まります。
この記事では、SOGA が美容室・サロン向けの電子カルテを設計するときに決めた項目をもとに、カルテに残すべきことと書かなくてよいこと、そして紙から電子カルテへ移す手順を整理します。
結論:カルテは「次回の提案」と「安全」のために書く
カルテは、前回の出来事を残す日記ではありません。次に担当する人が、同じ仕上がりを再現し、次の提案をし、避けるべきことを避けるための記録です。この目的から逆算すると、毎回書く項目は8つほどに絞れます。
電子カルテへ移すときも、過去の紙カルテをすべて書き写す必要はありません。お客様の基本情報と来店履歴を先に取り込み、施術の記録は次の来店から新しい形で書き始めるのが、現場を止めずに移す近道です。
カルテに残す8つの項目
SOGA の電子カルテでは、1回の来店ごとに次の項目を記録できるようにしています。目的ごとに4つに分けると、どれを省いてはいけないかが分かりやすくなります。
毎回必ず書く:来店日と担当スタッフ
最低限の記録です。指名の有無にかかわらず担当を残しておくと、仕上がりについて問い合わせがあったときに、誰に確認すればよいかがすぐに分かります。予約や会計の記録と結び付けておくと、書き忘れが起きにくくなります。
安全のために書く:注意事項
アレルギー、薬剤でしみた経験、肌や頭皮のトラブル、触れてほしくない部位など、知らなかったでは済まない情報です。施術の記録の中に埋もれると見落とすため、毎回の記録とは別の、カルテを開いたときに最初に目に入る場所へ置きます。お客様から聞いた日付も添えておくと、古い情報かどうかを判断できます。
同じ仕上がりを再現する:施術内容・薬剤・状態・写真
カラーやパーマでは、薬剤の配合と色番、ロット、放置時間まで残すと、担当が変わっても同じ仕上がりに近づけられます。施術前の髪や肌の状態(ダメージ、くせ、乾燥など)も、次回の薬剤選びの判断材料になります。
写真は、言葉では伝わりにくい長さや色味を残すのに向いています。ただし、撮影はお客様の了承を得てから行い、顔が写らない角度やスタイル部分だけにするなど、撮る範囲を店内で決めておきます。
次の来店につなげる:次回の提案
「次は根元のリタッチを1か月半後に」「乾燥が気になるのでトリートメントを提案」のように、次回のおすすめと、その理由を書きます。ここが空欄だと、カルテは過去の記録で終わってしまいます。提案と来店の目安が残っていれば、次の予約の案内や LINE でのお知らせにも使えます。
カルテに書かなくてよいこと
項目を増やすほど、忙しい日に書かれなくなります。次のような内容は、カルテに書かないか、書くとしても扱いを決めておきます。
- 会話の細かな内容:家族や仕事の話は、次回の会話のきっかけとして一言にとどめる。本人に見られて困る書き方はしない
- 容姿や性格の評価:「気難しい」などの主観的な評価は残さない。困った出来事は、事実と対応だけを書く
- 毎回同じ内容の転記:前回と同じなら「前回と同じ」で足りる。変えた点だけを書く
- 店内でしか通じない略語:略語を使う場合は一覧を作り、新しいスタッフも読めるようにする
判断に迷ったら、お客様本人がカルテを見ても困らない書き方かを基準にします。
紙のカルテで起きやすい3つの困りごと
紙のカルテでも、項目と書き方がそろっていれば十分に機能します。それでも電子カルテへの切り替えを考える店舗が多いのは、次の3つが紙では解決しにくいからです。
- 探すのに時間がかかる:来店のたびにファイルから探し、受付と施術席を行き来する。予約の段階で前回の内容を確認しにくい
- 担当以外が読みにくい:字の癖や書き方の違いで、担当が休みの日に注意事項を見落とす
- 来店の間隔に気づけない:しばらく来ていないお客様を、紙の束から探し出すことができない
3つ目は特に見落とされがちです。来店の間隔は、再来店の案内を送るタイミングを決める大切な情報です。来店後の案内の作り方は 美容室のリピート率を伸ばすWeb導線の作り方で詳しく整理しています。
紙から電子カルテへ移す手順
移行でいちばん負担になるのは、過去のカルテの書き写しです。営業しながら移すには、次の順番で進めます。
1. 項目と書き方を決める
電子カルテを選ぶ前に、上の8項目を自店の施術に合わせて決めます。ネイルやまつげなら、施術内容や使用した商材の項目が変わります。略語や書き方の例を1枚にまとめておくと、移行後の記録がそろいます。
2. お客様の基本情報と来店履歴を取り込む
氏名、ふりがな、連絡先、最終来店日、来店回数などは、予約システムや顧客台帳から一覧(CSV)で書き出せることが多く、まとめて取り込めます。ここまで済めば、予約の段階で「どのお客様か」が分かる状態になります。
3. 次の来店から新しいカルテを書く
施術の記録は、お客様が次に来店したときから新しいカルテに書きます。来店の多いお客様から順に自然と移っていくため、過去の分をまとめて入力する時間は要りません。最初の数か月は、来店前に紙のカルテを出しておき、必要な内容だけを書き写します。
4. 紙のカルテは保管し、注意事項だけは先に移す
紙のカルテはすぐに捨てず、保管しておきます。ただし、アレルギーなどの注意事項だけは、次の来店を待たずに先に電子カルテへ移します。担当以外のスタッフが対応する日に見落とさないためです。保管期間や処分の方法は、店内で決めておきます。
個人情報としての扱いを決めておく
カルテには、連絡先に加えて、アレルギーなど健康に関わる情報も含まれます。紙でも電子でも、次の点は運用を始める前に決めておきます。
- カルテを見られるスタッフの範囲と、退職したスタッフのアカウントを止める手順
- 写真を撮るときにお客様へ伝える内容と、撮らない範囲
- 店舗の共用端末をどこに置き、誰が操作できるか
- お客様から記録の確認や削除を求められたときの対応
健康に関わる情報の扱いや保管期間など、法令の判断が必要な点は、個人情報保護委員会の案内や専門家に確認してください。
SOGA の視点:カルテは会計とつながると続く
カルテが続かない店舗の多くは、書く場所と書くタイミングが決まっていません。SOGA では、予約と会計から来店履歴が残り、その来店の記録として施術内容・薬剤の配合・髪の状態・写真・次回の提案・注意事項を書き足す形にしています。
書いた内容を後から直したときは、直す前の内容が履歴として残ります。誰がいつ何を変えたかが分かるため、注意事項を誤って消してしまう心配がありません。来店回数・最終来店日・来店の間隔から次の来店の目安日も表示されるため、目安を過ぎたお客様に LINE やメールで案内するところまで同じ画面でつながります。詳しくは 美容室・サロンの電子カルテ・顧客管理で紹介しています。
カルテを予約や再来店の案内と切り離して管理すると、記録が次の行動に使われにくくなります。集客から管理までをつなげる考え方は 美容室は集客・リピート・管理を分けない方がよい理由にまとめています。
運用を始める前のチェックリスト
- 毎回書く項目が決まっていて、全スタッフが同じ書き方をしている
- アレルギーなどの注意事項が、カルテを開いたときに最初に目に入る
- カラーやパーマの薬剤は、配合・色番・ロット・放置時間まで残している
- 次回のおすすめと来店の目安を、毎回書いている
- 写真を撮る範囲と、お客様への伝え方が決まっている
- 略語の一覧があり、新しいスタッフも読める
- 移行時に、注意事項だけは先に移す段取りになっている
- カルテを見られるスタッフの範囲と、退職時の手順が決まっている


